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翡翠
「小早川!さっきはありがと。お陰で遅刻せずにすんだよ。」
伏見
「お、小早川と知り合いか?丁度良かった、玖堂の席は小早川の隣な。何かあったら、アイツに聞け。
ほら、HR始めるから席つけー。」
『カタンッ』と席に着いた翡翠に、夏樹が話し掛けてきた。どうやら、夏樹の方も翡翠に好印象を抱いているようだった。
夏樹
「改めてよろしく、玖堂君。〝小早川〟って言いにくいでしょ?だから、出来れば〝夏樹〟って呼んでほしいな。
俺は、玖堂君と仲良くなりたいし。 」
屈託ない笑顔で、そう言う夏樹。どうやら、本当に『いい奴』と評せる性格らしい。
翡翠
「……そっか。なら、俺も〝翡翠〟でいいよ。姓で呼ばれんのは、どうも慣れない。」
それは当然だろう。だって、翡翠の本姓は玖堂じゃない。玖堂と言うのは、翡翠の姉の嫁ぎ先の姓なのである。
まぁ、玖堂グループと言う手広く事業展開している大手企業なので、『家柄』的な問題も特には心配ない。
『安斎』を名乗れば媚びを売ってくる輩もいるだろうし、理事長である水晶との関係もバレてしまう。バレれば、色々と下衆な勘繰りをする者も出てきそうだったからだ。
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