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翡翠
「え。あ、大丈夫。ちょっと考え事してて。」
そう言って誤魔化そうとした翡翠は、夏樹とは反対側。つまり、廊下側の隣の席に座っている生徒に目を止めた。
真紅の髪をした所謂、不良然とした格好の生徒。眠っているようで瞳の色はわからないけれど、かなり整った顔をしているのはわかった。
翡翠
「夏樹、夏樹。この人は?あんま関わらない方がいいタイプ?」
一応、翡翠とて族幹部と言う不良の部類に入る。怖いわけではないが、面倒事に巻き込まれては堪らない。
夏樹
「あぁ、彼は『都筑 茉莉』君って言ってね。
『一匹狼』なんて言われてるけど、一般生徒には手を出さない。」
翡翠
「………へぇ。こうやって見てると、そんな風には見えないのに。」
瞳を閉じている所為なのか。眠る都筑の顔は、少しあどけないようにも見えたからだ。
夏樹
「うん、格好いいから、親衛隊もいるんだ。でも、しょっちゅう、喧嘩ばっかりしてるみたい。
実際、かなり強いらしいよ。流石に九鬼先輩には負けるけど。」
翡翠
「『九鬼』って『九鬼グループ』の?
九鬼の御曹司って、今二十五歳じゃなかった?」
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