- 第3章 -

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 日本でも有数のコングロマリット、と名高い『九鬼グループ』。翡翠も一応は、安斎財閥の一員と言う扱いなので、話はよく聞く。  まぁ、瑪瑙が当主を継がなかったので、翡翠もパーティー等に出たことはないから、勿論、面識はない。 夏樹 「違くて。いるのは三男で、ここの二年の『九鬼(くき) 柘榴(ざくろ)』先輩。 名実共に〝御影の狼〟なんて言われてる一匹狼の不良。」 翡翠 「…ちょっと待て。じゃあ、一匹狼なんて言われんのが、二人もいるわけ?」  一匹狼が二人もいたら、一匹狼にならないのではなかろうか?いや。まず、それ以前に、ややこしいことこの上ない。 夏樹 「九鬼先輩も、スッゴい美形で親衛隊持ちなんだけど………。神出鬼没で学院内や寮内でも、殆ど見掛けないんだよね。俺も実際は見たことも逢ったこともないんだ。」 -〝見た〟ことも〝逢った〟こともないのに  何で、そんなに詳しいんですか?夏樹サン-  翡翠は、そう思ったけど聞かなかった。先日の副会長との一件もあるので、何事も考えてから口にするように、と心掛けるようになったからであった。
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