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-五月初旬。御影学院高等部 正門前-
翡翠
「……………何これ……………」
門の前に辿り着いた翡翠の第一声がそれだった。目の前には『どどーん』とでも効果音が付きそうなほど、重厚そうな門扉。
しかも〝刑務所ですか?〟的に、大きく高い。三メートルぐらいは余裕にありそうだ。
翡翠
「ん~。見たとこ、案内係って人もいなさそうだしなぁ……………仕方ない、跳ぶか。」
どうやら、案内係を待つと言う選択肢は、翡翠の頭の中にはなかったらしい。くるっと門扉に背を向け、数歩下がり、助走を付けて跳躍した。
両手で門扉の天辺を掴み、大車輪の要領で回転し『すとん』と着地した。
翡翠
「さて、と。えーっと、理事長室は………」
ガサガサと、母の手紙と共に送られてきた〝御影学院入学案内〟と書かれたパンフレットを広げ、理事長室へ向かおうとした………その時だった
??
「いや、見事な跳躍力ですね。素晴らしい。」
『パチパチ』と拍手をしながら、こちらに歩み寄ってくる人物がいた。知的美人と言った感じだが、ここの制服を着ている、と言うことはこの人物が(多分)案内係だろう。
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