clumsy.1

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「冬李さんもコーヒー飲みますか?」 「あぁ、うん、頂こうかな」 コーヒーを淹れてくれるその背中を眺める。 つきあいは長くなった。 長くなったその中で思う。 月海は藍河以外には笑顔を絶さない。 特に七夕ちゃんと息子の前では。 あげはちゃんにはよく愚痴を言いに行ってるみたいだけど。 「どうしました?」 無造作に結ばれているその髪に無意識のうちに触れていた。 それをビックリすることもなく、クスクスと笑いながら聞いてくる。 「……いや、結び直す」 「ありがとうございます」 何年か前、結婚していた頃の月海はいつもキチンとしていたのに、離婚して帰ってきてからはずっとこんな感じ。 それでもいいと思うが、たまにヤバい時がある。 今日はまだマシな方。 そして毎回ソレを直すことが俺の役目。 「できた」 「さすがです、冬李さん」 これを褒められても… 「ハイ、コーヒーです」 「ありがとう」 習慣づいてるこの役目も、たぶん月海に彼氏でもできたらやらなくなるだろう。 そんな気がして、ふと寂しいと… 休憩室を出ながら、誰にも気づかれないように苦笑いを浮かべた。 なまじつきあいが長くなると、この感情がなんなのかわからなくなる。 家族みたいな…
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