clumsy.1

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『藍河さん、これ以上七夕に近づかないでもらえます?』 『なっ……』 鉄壁のガードを持つ親友のスキなヒト。 モテるということを知らない…気づいていないコイツはとにかく小学の頃から1人の子を追いかけている。 ソレを知ってるヤツらならば気にも留めなくなったけれど、高校で知り合ったヤツらには面白くないらしい。 よって、その子は入学早々からイジメの対象となった。 『あなたが近くにいると、七夕の高校生活が台無しになるんです』 2個下の子に凄まれ、少し後ろにいる俺でさえ怯んでしまいそうになる。 親友を…藍河を助けるつもりは毛頭ないけれど、さてどうしたものか。 とりあえず、傍観者に徹してみよう。 口を挟むのは状況が落ち着いてから。 『でも俺は…』 『藍河!いい加減にして!』 呼び捨てで叫ぶこの子は誰だろう? 『今後一切近づくな!』 それだけを言うと2人を連れて行った。 今まで何度もこんな場面に出くわしたことはあるけれど、いつもは少し怯えた表情の七夕ちゃんと静かに威圧を与えてくるあげはちゃんだけ。 あの子はハジメテだ。 『…あの子、誰?』 『は?妹だけど?』 いつものことながらすでにケロッとしている藍河は不思議そうに首を傾げる。 『あぁ…いたな、そういえば』 妹がいるということは覚えていたけれど、あんなにカワイかったのかっていう記憶はなかった。 そんなに興味もなかったし、藍河の家に遊びに行っても会うことはなかったから。 『とーい!俺に興味を持て!』 『……藍河に興味なんぞ持ちたくない』 覚えている限りでのハジメテの出会いはソレ。 別に衝撃や強烈な印象があったわけじゃない。 ただ、あれから少し話をするようになっただけのこと。
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