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「ホントごめん、膝枕しんどくなかった?」
寝ていたから記憶がないのは当たり前だけど、どうやらソファーで膝を借りていたらしく。
伸びをしている月海はなぜか楽しそう。
「全然、慣れてるから心配しないでいいですよ」
「亜生くんとは重さが違うと思うけど」
「えぇ?対して変わりませんよ」
小1と同じなんてありえないと思うけど。
「つぐ、ありがとう」
「いいえ、お役に立てたのならよかったです」
立ち上がりニッコリと笑うと休憩室から出て行った。
ソファーに項垂れ後頭部をポリポリと掻く。
「……何やってんだか」
ボソッとつぶやいた独り言が虚しい。
月海に…触れていたからだろうか、あんな夢を見たのは。
初対面はたぶん保育園の頃。
ただ小さすぎて記憶は全くない。
それでも会ってたはずなんだ、藍河とはその頃からの仲だし。
この家に何度遊びに来ても会うことはいっさいなくて、妹がいたことなんて完全に忘れていた。
あとから聞いた話、あの頃は藍河がうっとうしくて存在自体を完璧に無視していたらしい。
今は藍河の嫁となった七夕ちゃんは、月海とあげはちゃんの親友だから。
昔はいろいろと大変だったことだろう。
頭をガシガシと掻いていると休憩室のドアが開いた。
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