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「あ、そうだ、さっきスーパーであげはちゃんと五十嵐くんに会ったよ」
「仲いいみたいですね、2人とも」
「それで、今度みんなで食べに行こうかって話になったんだけど」
テーブルの上に料理を並べていく月海はなんだか楽しそうで。
「いいですね、亜生も一緒でいいですか?」
「いいよ。あげはちゃんと決めていいから、決まったら教えてくれるといいよ」
「わかりました」
昼間あったことは忘れているようで、ずっと笑顔だからホッとする。
だけど、俺が帰ったあと亜生くんと2人きりになって、その時果たして大丈夫だろうか。
思い出さないわけはないと思う。
でも、今の俺にはそこまでの干渉はできなくて。
ずっと側にいて守ってあげたいのに。
「ママ、てあらってきた」
「よくできました、はい、座って」
「はーい」
「じゃあ食べよう」
『いただきます』
誰かと揃って食べるなんて、あの旅行以来だからなんだろう、歯痒い感じがする。
だけど、月海の手料理がウマすぎて、そんなことすぐに忘れた。
「ごちそうさま」
「足りましたか?」
「大丈夫だよ」
食べるのに夢中になっていて、気づけばペロリと平らげていて。
いつもはこの倍の時間をかけて食べるのに。
1人は寂しいから箸が進まない。
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