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そして、そのまま部屋に入って行った。
自由だな、亜生くん。
「何か飲みますか?」
「じゃあ、コーヒーでももらおうかな」
微笑んでコーヒーを入れてくれる月海を見ていると、これが日常だったらなと思ってしまう。
「どうぞ」
「ありがとう」
受け取って考える。
さっき言ってしまったことをもう一度聞くか…
「冬李さんって、私の初恋…なんですよね」
唐突な月海の言葉に、全ての機能がストップした気がした。
まさか、そんな言葉が聞けるとは思いもよらなくて。
「──え?」
気づけば聞き返していた。
「初恋、だったんです」
コーヒーを一口飲んで苦笑い。
過去形なのはわかる。
じゃなければ結婚なんてすることはないだろうし、そんな話聞いたこともない。
「だから、冬李さんからスキって言われた時は…嬉しかった」
確かに昔スキだったヒトに言われたら、それは嬉しいけれど。
だけど、そこから先の感情が芽生えるかどうかは、また別の問題。
「なので…ハジメはあんな風に言いましたけど、ちゃんと考えました」
「え、わざわざ考えてくれてたんだ、ありがとう」
ただそれだけのことが嬉しい。
考えてくれていたんだと思うと笑みがこぼれて。
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