いつまでも ふたりで

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「いっつも叩くんだから」  きつねの面をたたく、甲高い音がこだました。 「風がふくから、しかたないだろ」  笑いながら、よこに腰かける。 「そればっかり」  いつものように、ふたりはならんでいた。 「アイス、半分くうか」 「全部ちょうだいよ」 「おまえみたいに、ひとがよくねぇよ」 「なによ」 「もう夏祭りだろ。また、きた人のために走り回るつもりか」 「みんな。お願いしてくるんだもん」 「仕方ねぇな。ずっとそばにいてやるよ」 「ずっとだよ」  白猫が、よこを通りすぎる。  そして、振りかえった。  そこには、ふたりの姿はなかった。  ただ、稲荷神社の社殿と、それに寄り添うご神木があるだけだった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!