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痛いのを堪えて歩こうとして、那央先輩の腕に、ぐいっと、体が急に持ち上げられた。
「…足」
あし?
「足くじいてるだろが」
「どうして…」
わかったの?
「そんな表情してたらわかる」
那央先輩に荷物のように肩に担がれた。
「わ、わたし重いからダメだよっ!」
「黙ってろ。動けば落ちる」
那央先輩の声は怒ってた。
それはそうだよね。
みんなが楽しいはずの肝試しだったのに、わたしひとりのためにめちゃくちゃになっちゃって…
しゅんとして、那央先輩の背中に隠れた。
下りの道を歩いてく背中は無言のままでその間すごく苦しかった。
別荘に戻ると築島くんが顔を青アザにしてわたしに謝った。
「涼海さん、ごめん。俺、そのまま置いて逃げたりして…本当にごめん」
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