『若恋』 那央の恋

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「…那央先輩に…彼女できたら…部活に来てくれなくなる?」 「時々は来るかもしれないけど、今までみたいにはたぶん来ないよね」 ズキン 考えもしなかった。 那央先輩と会えなくなるってこと。 「…わたし、部室に行ってくる」 教室を出て部室へと向かう。 その間も頭が混乱して涙が滲んでく。 部室を開けたら、ネガを焼く薬品の匂いがした。 わたしには暗幕の中でネガを焼き付ける技なんてない、だけど、那央先輩が好んで使ってた。 「…っ」 部室のドアを開けただけで、那央先輩との思い出が甦ってくる。 一枚の写真に心揺さぶられて入った写真部。 初めて暗幕の中で写真が出来上がるのを見させてもらった時、すごく感動した。 那央先輩と写真を作りたかった。 「…あ、」 那央先輩とみんなで行った別荘の写真… 記念にと撮った写真が部室に引き伸ばされて飾られてる。
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