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「大神先輩、コンテスト入賞、個展開催おめでとうございます」
部長から渡した花束を那央先輩に渡すととっても嬉しそうだった。
ああ、那央先輩の笑顔を久しぶりに見た。
「ゆっくりして行けよ。奥にはカフェもあるから」
みんなはそれぞれに那央先輩の写真の前を歩いてく。
別荘の近くの海辺の景色、
ラベンダーの花畑、
公園で揺れるブランコ、
そして、わたしが一目惚れした夕日の写真。
「わたしの写真も飾られてるのよ、イヤね」
さくらさんがそばに来て可愛く笑った。
あの写真だ。
那央先輩が撮った写真の中でピカ一だった。
「最近ね、那央どうやら守りたい人ができたみたいなの。その子の写真も飾られてるの」
「……そうですか」
できれば見たくない。
覚悟を決めてきた日だったから、その写真だけは見たくなかった。
フラれるのを覚悟して告白するって決めたんだもの。
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