326人が本棚に入れています
本棚に追加
さくらさんと並んで那央先輩の写真を観ていく。
個展奥の方で、ざわざわと声が上がった。
「何かあった、のかな?」
「コンテスト入賞の写真だよ、きっと。一番奥に飾られてるから」
さくらさんは嬉しそうだけど、わたしの足取りは重い。
那央先輩の好きな子の写真が飾られてると知ったから。
次々に観てく写真に、那央先輩が大好きだと胸が痛くて泣きたくなる。
あと、一枚…
足が動かない。
最後の一枚は那央先輩の好きな子の写真―――
あっ、
足がもつれて、べしゃっと冷たい床に転んだ。
個展に来ていた取材の人や一般の人たちがたくさんいたのに。
みんなの視線がわたしに集まってるのを感じて立ち上がれない。
切なくて苦しくて、
我慢してた涙がこぼれ落ちた。
「…っく」
泣いたらダメ…
那央先輩の個展をメチャメチャにしちゃう。
立とうとしたけど、震えて力が入らない。
最初のコメントを投稿しよう!