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「好きだ」
わたしの顔を覗き込んで告白してくれた。
「ともか、なあ、返事は?」
返事なんて決まってる。
だけど込み上げてくる想いで声にならない。
那央先輩の胸にギュッとしがみつくと、負けない力で抱きしめ返してくれた。
「…那央先輩…」
憧れてた。
ずっと那央先輩を見てた。
同じ景色をふたりで観ることができたらどんなに幸せだろうって。
「わたしも、…好き、大好き」
告げた瞬間にくちびるに熱いものが重なった。
初めて触れたくちびるに涙が溢れてく。
「ともかちゃん、…よかったね、うわーん」
そばにいたさくらさんがお兄さんに宥められて涙を拭いて、写真部のみんなも喜んでくれた。
那央先輩の写真の下、
あの写真と同じように笑顔になる。
「那央」
和服を着た女性が那央先輩の名前を呼んだ。
さくらさんと一緒にいたきれいな女性…
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