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「那央~!これもあげる!」
さくらさんが走ってきて那央先輩のそばで転びそうになったのを、後ろから抱きとめた腕があった。
「あっぶねぇ!」
「あ、玲央さん!」
しっかりと抱きとめたのは那央先輩のお兄さん。
「おまえはいつも転ぶからな。まったく危なっかしい」
天然でドジばかりしてるとさくらさんのこと那央先輩は言ってた。
さくらさんは女のわたしから見ても可愛い。
俺がついていないとって思わせるひと。
「こいつ、邪魔になるから連れてくな」
「邪魔なんてしてないもん!」
「十分にお邪魔だろ?」
ミィ~、猫をつまむようにしてお兄さんはさくらさんを連れてってしまった。
ふたりの背中を見送ってた那央先輩の顔はやっぱり複雑そうで気まずくなる。
「やっぱりわたしも荷物運ぶね。ふたりで運んだ方が早いから」
買い物袋を持って歩きだすと、那央先輩がちょっとだけ笑った。
「それもそうだな」
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