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「母さん」
「後でちゃんと紹介してね」
ええっ!?
「…お、お母さん!?」
少し年上の女性にしか見えなかった。
まさか那央先輩のお母さんだったなんて…
ペコリと頭を下げるとお母さんはにっこり笑ってさくらさんと歩いて行った。
「ともか、手を出せ」
「……手?」
右手を出すと違うって左手をつかまれて、左手の薬指には紅くて小さく輝く光がはめられた。
「…これ、」
「~~~~黙って受けとれ」
わたしの誕生石…
左手って、薬指にって…
那央先輩を見上げると片手で顔を隠してた。
「本物は何年先になるかわからねぇけどな」
「…那央先輩」
左手の指輪。
那央先輩が自分で稼いで贈ってくれた想いのこもった指輪。
誰のものにもならなかった那央先輩が目の前にいる。
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