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不安になって築島くんを見る。
築島くんは前にわたしを置いてきぼりにしたことなんて覚えてないようで、わたしによろしくって照れて笑った。
那央先輩を見ると、さくらさんと話をしてる。
「涼海さん、行こうか」
「…うん」
築島くんと目指すお宮は海辺からみても遥か遠い。
そこから札をもらって反対側の斜面を降りてここに戻ってきてゴールしなければならない。
山の上のお宮には揺れる灯りが見えてますます不安になった。
夜、9時にスタートしてく。
那央先輩は一年の子と一番のくじを引いて先に歩いて、築島くんとわたしも最後にふたりでゆっくりと歩き出す。
「涼海さん、足元気をつけて」
「うん」
「俺さ、涼海さんのこと前から気になってたんだよね。手、繋いでもいい?」
「え?」
立ち止まる。
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