『若恋』 那央の恋

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わたしのこと、気になってた? 「クラス合宿で作った甘い卵焼きのはずがちょっと塩辛かったり、転びそうになって男子のズボン下げちゃったり、ドジなとこが可愛いなーって。 放っておけないところが気になって…手、繋いでいい?」 築島くんは懐中電灯を反対に持ちわたしの手を取った。 「さっきもさ、涼海さんと組んで肝試しするって決まったらみんなが羨ましがって」 怖いのなんて一瞬で吹っ飛んで築島くんに手を引かれてく。 「あのさ、俺と付き合って―――」 海辺からお宮へと草木道を上がってく途中で築島くんが振り返った。 と、突然、白いものがふわりと横から浮いて、築島くんの首筋に絡み付いた――― 「う、わぁああっ!」 「キャアアッ!」 思い切り手を振り払われて草むらの中に転んだわたしを置き去りにしたまま、懐中電灯の灯りが一瞬にして消えてく。
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