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「はあっ!?おまえ、バカじゃねぇのか!?いくらおまえでも手を出せる相手じゃないだろが!!」
「おいおい、マジかよ?相手は旧華族のお姫様だぞ?いくらおまえでも相手にされるわけねぇよ!!」
「絶対無理だって!!やめとけ。おまえなら遊べる女ならいくらだっているだろ?ガードが硬いお姫様に指一本触れてみろ。ボディーガードに串刺しにされるぞ!」
悪友はみんな無理だ、やめろと真剣に言う。
無理もない、相手が悪すぎる。
「ほら、見ろって。隣には婚約者もいるんだぞ。諦めな」
退屈なパーティーでたまたま出会った女がピカイチだった。
その隣には申し分ないこれまた紳士な男が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
「あの男が婚約者、か」
「幼なじみだそうだ。生まれた時からのお相手ってわけさ」
「ふーん」
お嬢様には育ちのいいお坊っちゃん、か。
シャンパンを片手にふたりを眺めてるとそのお姫様とやらと目があった。
緩やかに波打つ長いダークブルーの髪。
目鼻立ちはすっきり。その瞳は澄んだ黒。
そして、何よりも柔らかな笑顔が光っていた。
俺に手に入らない女はいない。
望めばどんな女でもものにできる。
この俺に靡かない女はいない。
パーティーでひどく目をひいたお姫様に興味がわいて、婚約者がいてもかまわないと、挑戦的にダンスを申し込んだ。
「おいっ!?」
「よせって!バカ、あっくそっ!!」
シャンパングラスをテーブルに置いて、引き留める悪友たちを振り切りお姫様の元へ向かった。
パーティーは中盤を過ぎた。
婚約者とは2曲踊り終え、休んでいたお姫様の真正面に立ち堂々とダンスを申し込んだ。
申し込まれた者は基本断らない。それがルール。
淡い桜色のドレスが若く可愛らしいお姫様にはとても似合っていた。
「喜んで」
にこっと微笑む。
その華奢な手を取って踊り始めると、付き添いが「婚約者がそばにいるのに」と、俺のことを蔑むような目をしてこっちを見ていた。
軽いステップで見事に踊りきると、
「ダンスとてもお上手ですね。」
と、俺に向かって微笑んだ。
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