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その直後だった。
パーティー会場奥から、耳をつんざくような爆発音が響き、悲鳴や怒声と共に黒い風が辺りを襲った。
「伏せろっ!!」
天井にあるきらびやかなシャンデリアが落ちホールに砕け散る。
目の前の彼女を抱き込んで床に伏せた。
辺りが一瞬で暗くなり、ガラスが割れる音が響き、悲鳴が飛び交った。
「大丈夫か!?」
「…ええ、大丈夫」
「絶対に動くなよ」
抱き押さえた暗闇の中、ガツガツと大勢の雪崩れ込んでくる足音がして、
「騒げば命は保証しない!!死にたくなければ言うとおりにしろ!!」
野太い声がホールこだました。
襲撃者に叫ばれて、悲鳴や怒声を飲み込む紳士淑女たち。
その中を複数の光と荒い足音がホールの中を走りまわる。
誰かを捜してる、のか?
その光は誰かを捜し当てると、
「や、やめろっ、俺は」
いい募ろうとした男はくぐもった声を抑えられ連れ去られていった。
「我々はこれで失礼する」
その言葉と共に足音が去り、後には、何がおこったのかわからない者ばかりがテーブルの下で息を潜めて震えていた。
しばらくして燭台を持った執事やメイドたちが駆けつけた。
暗闇の中、灯りがともされ辺りの様子がうっすらとわかってくる。
シャンデリアが落とされ、窓からガラスが割られただけで被害は少ない。
おそらくケガをした者もそれほどいないだろう。
「動けるか?」
「ええ、動けるわ。ありがとう。庇ってくれて。あ、あなた様がおケガをして…」
「あ?ああ、こんなのかすり傷だ。舐めておけば治る」
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