許されぬ恋

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一度だけ触れた。 可憐な花は手折らず、遠くから愛でるだけ。 誰にも恋をしたことのない俺が初めて恋を自覚した。 どんなに美しく装った女でも、目の前に咲いている一輪の花には敵わない。 どんなに美しい声で囁かれても、鈴の転がるような笑い声には敵わない。 人を疑うことを知らない無垢な瞳が俺を見つめたまま。 このまま強く抱き締めたら折れそうな華奢な体。 ―――好きだ
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