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寝苦しい夜、窓を開け放って風を取り入れて眠る。
エアコンなんて高級な物は、高校生の部屋には存在しない。
うううう・・・ん。
汗で痒くなった首筋をぽりぽり掻きながら寝返りを打つ。
「あー、もう。暑い」
美咲は、枕を叩いて文句を言う。
そんな彼女にとっては、心地よい涼しい風がふっと窓の方がら吹く。
「ああ、涼しい・・・ってか。冗談」
暑いはずなのに、タオルケットを急いで引っ張ると彼女はすっぽりとその中に隠れた。
・・・・うううううううう、ふぅううううううう・・・・
この部屋は、一軒家の二階。窓の外には誰もいない筈なのだが。
何か、小さなうなり声がその辺りから響く。
見ざる言わざる聞かざる
美咲は、心の中で自分に言い聞かせると目を閉じる。
・・・・誰か、誰か・・・・
ああ、もう。知らないって言ってるでしょ。
耳を塞いでも、声が脳で響く。
だから、私は霊媒師じゃなくて。普通の学生なんだってば。
普通は怖がる筈の状況で、知らん振りを決め込もうとする辺り彼女にとっては
日常茶飯事なのがよく分かる。
・・・わあああああああ・・・・
「ああ、もう!聞けば良いんでしょ、聞けば!!」
彼女は、ガバッと布団から起き上がると窓に向かって歩き出す。
日常が日常になりえない、彼女の日常はいつもこんな感じなのだ。
「だから言ってるのに、心霊依頼お断りしますって。どこかに書いておかないと駄目かな」
今夜も、新しい依頼が入ったようです。
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