第一章 依頼の主は幽霊

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朝の陽射しが眩しくて、美咲は思わず目を細める。 「とんでもない依頼だわ本当に。アタシは探偵でも霊媒師でもないって言ってんのに」 昨夜、メモをした内容を手に近所のお寺を目指していた。 美咲の家から、自転車で走ること5分。 彼女の家の菩提寺でもある、天昇寺がある。 汗だくになりながら、本堂の前で自転車を乗り捨てると、の階段を登り 中に向かって叫んだ 「和尚!お、しょ、お!ちょっと聞いてってば」 返事が無いのを確かめてから、今度は本堂脇にある自宅玄関を開けて叫ぶ 「こんにちは、美咲です。和尚さんいますか」 すると中から、白髪の上品な女性が現れた 「あら、美咲ちゃん。また何か有ったの?おじさんは、裏の滝にいるわよ」 いつものことらしく、彼女は顔色を変えずにっこりと笑う。 「おばさん、ありがとう。またなの、また!もう嫌んなっちゃう!」 美咲は、ペコリと頭を下げると言われたとおり裏の滝に向かう。 「また年甲斐もなく、滝修行か。懲りないなあのオッサンも」 ブツブツ言いながら、墓地を抜け突き当たりの茂みをかき分け奥に向かう。 獣道をしばらく歩くと、滝の音が聞こえてくる。ここが、裏の滝なのだ。 直ぐに滝に目をやると、和尚の姿は無かった。そして、滝の横に置かれたスノコで着替える彼を発見する。 濡れた体を拭くために、白装束を上を脱ぎ捨て、海パン一枚で 体を拭く熟年男性の姿が有った。
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