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朝の陽射しが眩しくて、美咲は思わず目を細める。
「とんでもない依頼だわ本当に。アタシは探偵でも霊媒師でもないって言ってんのに」
昨夜、メモをした内容を手に近所のお寺を目指していた。
美咲の家から、自転車で走ること5分。
彼女の家の菩提寺でもある、天昇寺がある。
汗だくになりながら、本堂の前で自転車を乗り捨てると、の階段を登り
中に向かって叫んだ
「和尚!お、しょ、お!ちょっと聞いてってば」
返事が無いのを確かめてから、今度は本堂脇にある自宅玄関を開けて叫ぶ
「こんにちは、美咲です。和尚さんいますか」
すると中から、白髪の上品な女性が現れた
「あら、美咲ちゃん。また何か有ったの?おじさんは、裏の滝にいるわよ」
いつものことらしく、彼女は顔色を変えずにっこりと笑う。
「おばさん、ありがとう。またなの、また!もう嫌んなっちゃう!」
美咲は、ペコリと頭を下げると言われたとおり裏の滝に向かう。
「また年甲斐もなく、滝修行か。懲りないなあのオッサンも」
ブツブツ言いながら、墓地を抜け突き当たりの茂みをかき分け奥に向かう。
獣道をしばらく歩くと、滝の音が聞こえてくる。ここが、裏の滝なのだ。
直ぐに滝に目をやると、和尚の姿は無かった。そして、滝の横に置かれたスノコで着替える彼を発見する。
濡れた体を拭くために、白装束を上を脱ぎ捨て、海パン一枚で
体を拭く熟年男性の姿が有った。
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