効かない薬

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 「先生、これはまさか…」  「うむ、やはりあの『憂鬱病』の可能性があるな」  「そ、それって?」  診断を見守っていた母親が、涙目になる。医師たちの雰囲気から何かを感じ取ったのだろう。  「ええ、発病者は十万人に一人、ごく稀に見かける難病です。はっきり申し上げると、重症だった場合、命の危険があります」  「ああ、なんてことなの…」  母親はついに泣き崩れた。  「おお、神よ」  父親も、動揺を隠せない様子だ。
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