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「憂鬱病ともなると、これは私たちだけに負えるものではない」
医師の手回しにより、更に優秀な科学者たちが呼ばれた。
憂鬱病を研究し、治療薬を開発せんとしている人々だ。
「かなり稀な病気なので、重要なサンプルが取れるかもしれん。みんな心して当たってくれ」
リーダーらしき青年が言うと、研究者たちは好奇心と緊張が入り混じった顔でうなずいた。
「もし憂鬱病だとしたら、研究チームが開発したこの先進薬で、少しは症状を和らげられるはずだ」
「ああ、しかしまだ憂鬱病と確定した訳ではない。他の可能性も視野に入れていかなければ」
「お金はいくらでも出します。あの子を、あの子を助けて下さい」
母親の悲痛な叫びが、お茶の間に響く。
「かわいそうに」
「ママ、あの子死んじゃうの?」
人々の間で関心が高まり、やがて国内でもトップクラスの名医たちがコウイチ君を救うため、彼の治療に当たることになった。
「日本中の人々がコウイチ君の快復を願っています。我々はその想いに答えねばならない」
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