効かない薬

7/7

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 「コウイチ君、テレビで見たわ。それで、チエ、シンパイでシンパイで…」  「チエちゃん…」  病室に入ってきたのは、コウイチ君の家の隣に住むチエちゃんだった。  「帰ってきてすぐパパに頼んだの。コウイチ君のお見舞いに行きたいって」  「でもチエちゃん。僕のこと、嫌いになったんじゃないの…?」  「何で?」  「だって遊びに来なくなったし、家にデンワしても出ないし…」  「それは、ガイコクに行ってたからよ。パパのおシゴトで、キュウだったから、ごめんなさいね」    「じゃあ、嫌いになってないの?また遊べる?」  「もちろんよ」  呆気に取られる両親と医師たちの前で、コウイチ君はチエちゃんと仲良く手を繋ぎ、元気に病室を出て行った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加