青空アイスキャンディー

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「お前も食え」 「え~せっかくの夏休みなのにかわいそうだよ~」 「いいから食え」 「う~」 シャクシャクと、爽やかな夏らしい音をさせて男が言う。 「いいか、こう快晴続きだと水不足になる。熱中症で命を落とす人もいる。青空の間引きだって大事な仕事なんだ」 女はそれを渋々と受け取り、青空を一口かじる。 シャクシャク、シャクシャク。 「……青空ってラムネ味なんだね」 「ああ。夏空の下の沢山の青春が詰まってるからな」 シャクシャク、シャクシャク、蝉時雨。 「初恋もこんな味なのかな」 「さあな」 シャクシャク、シャクシャク、にゃあと一声。 「お祭り行きたいな」 「盆までの我慢だ」 「……中学最後の夏休み、やりたいことがいっぱいあったの」 「そうか」 「もっと言うことないの?」 「早く仕事覚えろ」 「む~」 シャクシャク、シャクシャク、夏の風。 シャクシャク、シャクシャク、青空が溶けていく。
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