X.一方:北女神領、森林

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X.一方:北女神領、森林

 フランを含む西女神領の一行と、捕虜交換予定地点を結んだ延長線上。  徒歩で半日ほど進んだ先に、北女神領の一行はキャンプを張っていた。  北女神領の兵隊は、兵器能力である『通信』によって必要な物資を自軍の女神に知らせ、補充することが可能で、  『車』という馬などの生物を用いらない長距離移動手段を有しており、  兵器界は『高速具』も発展しているため、捕虜の見張りも比較的に楽で、  『テント』も他の領の物に比べると、ずっと簡単に建てられて丈夫だ。  こうした様々な面で、北女神領の兵隊は遠征に強く、今回のような危険が比較的に少ない任務は、遠足のような感覚で兵隊にとっては一種の気晴らしになっていた。  もちろん、捕虜の管理や、実際に捕虜交換する瞬間など、任務自体に手を抜くことはない。  だが、それでも夜などは薪を焚いて、一晩ずつ交代で酒を飲みながら雑談にふけったりもする。  はずだった……。
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