1.落ちてきた神様

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 空から、男の子が降ってきた。  天気予報によれば、今日の日本列島は軒並み晴れ。雨はおろか男の子が降ってくる確率など0%に等しいはずだ。  そこは上木美香の日常からわずか徒歩二十秒程度の距離。いつもは素通りする商店街の路地に、もしかしたら隠れた名店があるかもしれない、などと妙な好奇心を胸に侵入した矢先の出来事だった。  あまりにも突然の出来事に美香は声もなく硬直する。視界の左右に映るのは雑居ビルの高い壁。まさかこの上から落ちてきたとでもいうのだろうか。  美香の混乱をよそに、男の子は何事もなかったかのようにむくりと起き上った。目立った外傷は見当たらない。ひとまずほっと一息ついた美香に向かって男の子が口を開いた。  「お前、今日から神様代行」  美香を見据え、美香を指さし、男の子は神の啓示を告げるかのように言い放った。  そこは日常からわずか徒歩二十秒程度の距離。いつもは素通りする商店街の路地裏。  平凡な女子高生、上木美香の平凡な日常はさも当然のように崩壊していった。
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