1.落ちてきた神様

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 六限の授業が行われている風見高校一年B組の教室は気だるげな倦怠感と不可思議な統率感に満ちていた。  クラスの全員が教壇で難しい公式が成り立つことを証明している年季の入った教師の話を適当に聞き流し、遠慮もせずにあくびをし、窓の外と時計を交互に見つめ、授業終了の開放感を快い目覚めとともに感じようと睡眠学習の体制を取っている。  そんな団結の輪に入れない女子生徒が一人、窓際の最後尾に座っていた。  年季の入った教師の話を真剣な顔で聞き取っては自分のノートに熱心に書き写し、時折頷いては「先生、私授業聞いてます」ということを猛アピールしている彼女は見るからに優等生である。  教師がやっとの思いで証明を終え、この公式はテストに出すことを公言し、「テストに出す」という言葉に大半の生徒が飛び起きたところで授業終了のチャイムが鳴った。  教室に響く気をつけ、礼。そしてありがとうございましたの大合唱。これにて今日の授業は終了し、皆がいそいそと帰宅の準備を進めた。  「ねえ、上木さん」  不意に声をかけられ、上木美香は顔を上げる。
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