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“素敵な部屋ですからきっと、良いことが在りますよ”
「……。だったら、良いんだけど」
いつか純粋な、あの彼女の激励を、素直に飲み込める日が来るだろうか。
どれ程、この部屋でひとりを過ごしたら。
「……おかえり……」
小さく、虚空に囁いた。
口にしなくなった言葉。
掛けられることも無くなった言葉。
また誰かに、言う日は来るだろうか。
今は無理でも。
“お客様も、素敵ですから”
そう言う日が来たら、良いと、思った。
そのときは、彼と過ごした日々を愛でられると良い。
この部屋で。
そんな自分を、愛せたら良い。
【 了 】
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