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その後に、瀬尾の母親と潤くんにおみやげを買うのだと白が言うので、売店を探した。
「こういうの、お母さん好きか?」
白が手に取って見せたものは、動物の型抜きクッキー。
「好きなんじゃないかな。お茶入れて食べると思う」
じゃ、お母さんにはこれで、とその箱を腕にさらに店内を物色する。
「潤くんに変なもん買ってあげたい」
そうつぶやくので、
「変なもん買ったら、潤怒るんじゃない?」
「や、笑ってくれるようなもんがいい」
真剣に答える白。
「じゃ、これは?」
瀬尾が指さしたのは、厚紙で作れる動物のペーパークラフトのキット・セット。
「おお」
白の顔がぱあっと明るくなる。
「なかなか面白いじゃないの」
早速手にとってみる。
「この水牛の目なんか、完全にイっちゃってるわ」
単純ながらもそれぞれの動物の特徴をよく捉えているのに、何故だか目だけが妙にうつろというかまんまるというか。
なかなか趣があると言えば、ある。
「これにしよう」
物凄く嬉しそうに、水牛を含んだペーパークラフトを2セット取り上げた。
「ふたつ?」
「うん。大矢さんもきっとこういうの、好きだと思うから」
「おーちゃん?」
「あのひと、馬鹿みたいにくだらないものが大好きなんだ」
「へえ」
「透さんにも何か…」
あたりを見回す。
「あ、これでいいや」
ひょいと、そばにあった写真立てを手に取る。
「え、それを高宮さんに?」
「うん」
プラスチックの写真立ては、可愛らしくデフォルメされたライオンが、大きく開いた口の部分に写真を入れるようになっており、とてもあの高宮氏が使うとは思えなかった。
「それ、小学生の女の子あたりが好きそうな…」
「いいんだよ。これ、議員会館の机の上に置いて使ってね、って言うんだ」
何かを企むような表情で笑う白に、瀬尾は高宮への同情を禁じ得なかった。
なんだかんだ言いながらも、きっと使うんだろうなぁ、と思いながら。
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