104人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
構内に滑り込むようにやってきたモノレールに、乗り込む。
車内は学校帰りの中学生や高校生で、ほどよく混んでいた。
けれど彼らは空いている座席に座るよりも、仲間同士でドアのそばに立って話をすることを好んでいた。
「座る?」
二人分の席が空いている。
瀬尾が尋ねれば、白が頷いた。
普段あまり外に出ないせいか、少し疲れたような上気した顔をしている。
並んで座ると、座席の下からの暖房と互いの体温で体が温まってくるのがわかる。
かたん、かたんとかすかな音をたてて、モノレールが走る。
おみやげが入った紙袋を膝の上に大事そうに抱えながら、白は窓の外を眺めている。
車内はオレンジ色に染まり、白の頬も例外ではない。
かたん、かたん。
JRよりもずっと軽い走りで、モノレールはすべるように進む。
薄く開いた、白の唇。
まばたきを忘れたかのような、白の瞳。
柔らかな曲線を描く、白の頬。
白の髪が、明るく染め上げられている。
発車していくらもたたないうちに、白の頭がこくりと動いた。
すぐに体を起こすが、またいくらもしないうちにゆらゆらとしている。
「寝てていいよ」
瀬尾が言えば、眠気には勝てなかったのか、
「ん…」
逆らわずに、目を閉じた。
ゆっくりと、白の体が瀬尾によりかかる。
紙袋を押さえていた小さな手のその指が、ゆるゆると膝の上で力が抜けて開いてゆく。
心地よい重みが、瀬尾の肩にかかった。
コートの襟に顎をうずめた白の、小さな寝息。
最初のコメントを投稿しよう!