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瀬尾の前を歩いていた潤が、突然足を止めた。
「?」
声が、する。
白の声だ。
久しぶりに聞くその声は、誰かと言い争っているかのように鋭かった。
ちょうどVIP用の待合室らしきドアから出てくるところで、手に持った端末に向かって白は声を荒らげている。
「だから」
「話を聞いて」
「そうじゃない」
「違うんだって何度」
通話している相手と、なんだか話がかみ合っていないみたいだと瀬尾は思った。
そのとき。
「…あの野郎」
鋭い舌打ちをした潤が、大股で白に向かって歩き出す。
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