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「そうじゃない、どうしてわかってくれないんだ!」
ひときわ高く叫んだ白に、潤が手を伸ばす。
「貸せ!」
はっ、と顔を上げた白はそこに潤の姿を認め、次いでそばにいる瀬尾に一瞬視線をやる。
が、すぐに目をそらして、手にしている端末を双子の片割れに取られまいと、身をひく。
「かず!」
なおも通話相手と何か言い争いながらも、白は潤を見つめながら何度も首を横に振った。
「出るなと言っただろう!」
白の手首を掴んで、通話を遮る。
「そんな奴に何を言っても無駄なんだ!」
「潤くん!」
掴まれた左の手首を、自分の右手で取り戻すように握る。
「耳を貸すな!口なんかきかなくていい!」
「放してって!」
「かず!」
「今、ちゃんと話しておかないと」
「無駄だ!」
「潤くん!」
「わからないのか?!」
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