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「わっ、わかったって…、ちょっと…ギブ、ギブ」
「取り込み中、口挟んで悪いけど、瀬尾さん」
「ええ?なに?!」
「かず、殺さないで」
「はっ?!」
慌てて力を緩めれば、白がその場で思いっきり咳き込んだ。
「げほっ…げっ、げほっ、」
「あ、ごめ」
「この…ごほっ、馬鹿力が…」
「ごめん、大丈夫?」
背中をさすってやれば、少し息の落ち着いてきたらしい白が涙目で瀬尾を見上げた。
「なにすんだよ…まったく」
「ごめん、なんか、ほんとにごめん。もう大丈夫?」
「あのさあ」
「うん、ごめん」
「普通さあ」
「うん」
「空港の別れのシーンて、もうちょっと静かでセンチメンタルなもんなんじゃないの?」
あんたに期待するほうが間違ってるんだろうけどさあ、と白は恨みがましくぶつぶつ言う。
「こっちのセリフなんだけど」
「ああ?」
瀬尾の言葉に、白がガラも悪く睨み上げてきた。
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