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ファーストクラスのウエイティング・ルームには他に人はいず、とりあえず三人はソファに座った。
が、すぐに潤は立ち上がり、
「透さん、来たみたい」
携帯端末を見ながらそう言った。
「ちょっと行ってくる」
ふ、と瀬尾を見下ろし、
「かずに妙な事、すんなよ?」
氷点下の笑顔で言い残し、重いドアの向こうに足早に消えて行った。
「潤くん、透さんのこと大好きなんだよね」
「え?そうなの?」
「うん。初めて会ったとき、将来は絶対結婚するんだって言ってた」
「おお…なんかすげえ」
「小さい頃は、透さんが来るたびまとわりついて離れなかったし、帰っちゃったあとは次はいつ来るんだって電話攻撃してた」
「可愛いねえ」
「そう、すっごく可愛かった」
「さて、誤魔化されないよ?」
ちっ、と舌打ちをして白が目をそらす。
このやろ、やっぱりそのつもりだったな。
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