16

4/15
108人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
ファーストクラスのウエイティング・ルームには他に人はいず、とりあえず三人はソファに座った。 が、すぐに潤は立ち上がり、 「透さん、来たみたい」 携帯端末を見ながらそう言った。 「ちょっと行ってくる」 ふ、と瀬尾を見下ろし、 「かずに妙な事、すんなよ?」 氷点下の笑顔で言い残し、重いドアの向こうに足早に消えて行った。 「潤くん、透さんのこと大好きなんだよね」 「え?そうなの?」 「うん。初めて会ったとき、将来は絶対結婚するんだって言ってた」 「おお…なんかすげえ」 「小さい頃は、透さんが来るたびまとわりついて離れなかったし、帰っちゃったあとは次はいつ来るんだって電話攻撃してた」 「可愛いねえ」 「そう、すっごく可愛かった」 「さて、誤魔化されないよ?」 ちっ、と舌打ちをして白が目をそらす。 このやろ、やっぱりそのつもりだったな。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!