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瀬尾はケツポケに入れたままだった自分の端末を取り出して、画面をタップする。
それを耳にあて、
「あ、俺」
「オレオレ詐欺かよ」
日本の変な事情に詳しいらしい白のセリフは無視して、
「うん。今?潤たちと一緒。ちょっと待ってて」
そして、
「はい」
それを白に向かって差し出した。
出ろ、と。
「なんで。誰?」
口を尖らせる白に、瀬尾は言った。
「うちの母ちゃん」
え。
固まった白に、
「自分の口から言いな。帰るって」
はい、とその子供のような小さい手にそれを握らせた。
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