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「どうして帰国すること、教えてくれなかったの」
白が顔を上げた。
怒ったように瀬尾を睨んでくるが、負けずに睨み返す。
たぶんあんまり凄みはないんだろうとわかっちゃいるけど、ここは引けない。
「黙って帰るって、ひどくない?」
「…」
白も引かない。
黙ったまま、睨みあう。
「じゃあ、質問を変えるよ」
瀬尾の低い声。
「もう、日本へは来ないって本当?」
白が目を見開いた。
「潤が言った。お父さんが生きている間は、絶対に日本には来させないって」
「潤くんが?」
「そう」
「…」
「本当なの?」
「…」
「自分でもそう思ってんの?」
「…」
「答えて」
瀬尾の腕の間に閉じこめられて、白が唇を噛んだ。
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