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「…今回の事で、俺は潤くんを傷つけた」 まっすぐに瀬尾の目を見つめながら、白が口を開く。 「潤くんは強くて、とても優しい。その彼を、俺はこれ以上ないぐらい酷いやり方で傷つけたんだ」 「…おまえの仕事の事?」 否定も肯定もせず、白は曖昧に笑う。 「でも、だからって別にその代償として無条件に潤くんの言う事をきこうとしているわけじゃない」 そうだろう、と瀬尾も思う。 そんな事をすれば、むしろさらに潤のプライドを傷つけてしまいそうだし、白もそんなタマじゃない。 「やっぱりあんなふうに自由を奪われるのは、絶対に我慢ならない。いくら親父でも。親父だからこそ、許せない」 瀬尾の目を正面からまっすぐに見据えて、言った。 「しばらく日本に来ることは、ない」 うん。 そう言うと思ってた。 瀬尾はうっすらと微笑した。
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