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一瞬だけ触れあった唇は、すぐに離れる。
「会いに行くから」
「…」
「会いに行く」
「…」
うつむいたまま、白は答えない。
「返事して」
「…」
「返事、して」
白の頬から耳にかけて手のひらをすべらせ、顔を上げさせる。
「頼むから、返事して」
真っ赤な耳を瀬尾の長い指に挟まれて、
「ん…」
目をそらせたまま、白が小さい小さい声でぶっきらぼうに返事をした。
それでも瀬尾は嬉しそうに笑い、
「そのときに、お前の本当の名前を」
教えて、と今度は深いキスをしながら瀬尾が言った。
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