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「俺と潤くんは、二卵性の双子。それは知ってるでしょ」 「うん」 「んで、透さんの仕事はね」 瀬尾でも知っている大物政治家の名前を挙げる。 「その人の秘書見習い」 「え、すっげぇ…」 最後のフィクサーとも呼ばれるその人物は、最近でこそ顔を出す機会も減ったとはいえいまだその影響力は計り知れないと、たまに見るニュース番組でも時折名があがる。 瀬尾が物心ついたころから政治を伝えるニュース番組では、何度もその顔と名前を見てきた。 「透さんは、その人の娘の子供」 「え」 「名字が違うのは、娘さんはもう嫁いでいるから。高宮参院議員のところに」 そういえばそんな議員さんがいた、かも。 「高宮議員は悪い人じゃないだけど、それが政治の世界では裏目に出てあまり頭角を現しているとは言い難い」 瀬尾の横で、布団のうえにぺったりと頬をつけて楽しそうにしゃべっている白の言葉は、瀬尾には少し難しい。 「出世できないの?高宮さんのお父さんは」 「ひたらく言うと、そうだね」 「高宮さん本人はすっごいきちんとしてるよね」 「そう。だから、おじいさんは透さんを跡継ぎにと考えている」 「跡継ぎ?」 「地盤だね。高宮議員ではこれ以上を望めないということなんだろう」 「それで高宮さんを?」 「そう。まずは秘書見習いから。周囲の反感を買わないように、じっくりと育てるつもりなんだと思う」 「へぇ…」 「でね」 ふいに白の顔が近くなった。 「透さんのおじいさんが、俺と潤くんの父親」
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