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平日の園内は比較的空いていて、遠足らしい幼稚園児たちの一団が賑やかに通り過ぎて行った。 のんびり歩きながら、ゆったりと配置されている動物たちの檻の前で時々立ち止まっては中を覗いてゆく。 「猿だ」 「猿だねえ」 「寒そうだな」 「寒いからひっついてるんだよ」 「服着てねえもんな」 「着てたらそれ人間でしょ」 少し歩くと、比較的大きい建物の前に出た。 入り口に案内板があり、のぞき込んだ瀬尾がそれを読む。 「バードホールがあるんだって、ここ」 「バードホール?」 「温室みたいなとこに鳥を放し飼いにしてるみたいな」 「へえ」 「ちょっと入ってみようか」 「うん」 「お」 「あー…、これは結構すごいね」 巨大なガラスの温室の中、ジャングルを模した木々がとりどりに植え込まれている。 「天井、たっかいな、おい」 白が空を見上げるように、口を半開きにしている。 「一応室内なのに、こんなに高い木植えてあるなんて、すっげえな」 「鳥も結構な種類、いるみたい」 室内の案内板に記されている鳥の種類を、瀬尾が読み上げる。 白は聞いているのか、相変わらず口を開けたままで天井を見上げていた。 「口の中に鳥のふん、落っこちてくるよ」 瀬尾がそう言えば、あー、とか言いながら口は閉じたがまだ見上げている。 鼻の下がのびて、ちょっと面白い顔になってると瀬尾は笑った。 白は、ずっとガラスの天井と、その中を飛ぶ鳥を見上げていた。
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