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「どうぞ」 にこやかに職員がウサギのほうを見て、 「お好きな子を抱っこしてあげてください」 そう言った。 「俺はいいよ」 両手と首を振りながら、白が言った。 「大丈夫だよ、そーっとすれば噛まないから」 「誰も噛まれるのにびびってるわけじゃねえよ」 「ほら、可愛いよ」 瀬尾が胸に抱いた白い兎を、ふわりと渡した。 「ちょ、おい」 「ね、あったかいでしょ」 「ええー」 おっかなびっくり兎を抱く白は、それでもなんとか慣れてくると、 「ふにゃふにゃしてるかと思ったけど、結構しっかりしてんだな」 なんて言いながら、兎の背中を指で撫でる余裕まで見せた。 「可愛いね」 瀬尾が言うと、 「可愛いな」 ちょっと笑ってそう言った。
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