108人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
「どうぞ」
にこやかに職員がウサギのほうを見て、
「お好きな子を抱っこしてあげてください」
そう言った。
「俺はいいよ」
両手と首を振りながら、白が言った。
「大丈夫だよ、そーっとすれば噛まないから」
「誰も噛まれるのにびびってるわけじゃねえよ」
「ほら、可愛いよ」
瀬尾が胸に抱いた白い兎を、ふわりと渡した。
「ちょ、おい」
「ね、あったかいでしょ」
「ええー」
おっかなびっくり兎を抱く白は、それでもなんとか慣れてくると、
「ふにゃふにゃしてるかと思ったけど、結構しっかりしてんだな」
なんて言いながら、兎の背中を指で撫でる余裕まで見せた。
「可愛いね」
瀬尾が言うと、
「可愛いな」
ちょっと笑ってそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!