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そのあともぶらぶらと歩きながら、動物の原種が展示されているコーナーを眺めたり、半分地下を通る通路から水中のビーバーやカワウソを見たりした。
途中で芝の植えられているピクニックゾーンのような場所に、大きな木が何本も立ち並んでいたけれど、それは冬枯れしているようで少し寂しげだった。
「あ」
瀬尾の声に、少し前を歩いていた白が振り返る。
「まだ春なんてずーっと先のことなのに」
長い腕を伸ばして、枝の先を指さす。
「ほら、もうつぼみがある」
「ん?」
白が瀬尾のところまで戻る。
二人の視線の先。
「ああ」
それは、桜の木だった。
「ほんとだ」
ね?と視線を戻した瀬尾の傍らで、白が背伸びをして
「え」
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