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早飯が多いスタッフたちが食べ終わったものを片付けてから、ようやくにいちゃんと一緒に弁当を食う。 「おまえ、なんでここに応募してきたの?」 もぐもぐとノリ弁を食いながら、にいちゃんが聞いてきた。 どうやら話好きのようだ。 「やー、美容師やってたんすけどね」 まだ見習いだった事はふせておく。ちょっといいかっこもしてみたい。 「一身上の都合でちょっとケガしちゃって、でも実家また出たいから引っ越し費用ためてんすよ」 なんだそれえ、と笑いながらもにいちゃんは、大変だったんだなおまえと言ってくれた。 苦労してないように見えるのにな、と余計な事も付け足しながら、 「家から通える美容院勤めればいいじゃん」 ちくわの磯辺揚げをもぐもぐしながら、にいちゃん。 「あー、でも俺家出たいんすよねー」 唐揚げもぐもぐしながら、瀬尾。 「わかるわかるそれ。めんどくせえよな、親」 白身魚のフライもぐもぐしながら、にいちゃん。 「めんどくさくはないんですけどねー」 ふたつめの唐揚げもぐもぐ。 「つか、なんで俺がノリ弁でお前が唐揚げ弁当なんだよ」 「え?でもこれ残ってたから」 「じゃあそれ、お前のじゃないと思うよ」 「え?!」 二人以外のスタッフもセイムも既に弁当は食べ終わっている。 弁当は、もうない。 「え?でもこれ最後に残ったひとつ…」 にいちゃんがちょいちょいと箸の先で指し示した先には、 「あっ!」 一人がけソファに丸まって座り、ぴこぴことゲームをしている白がいた。
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