08

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ピンポンで玄関のドアを開けると、そこには…なんていったっけ、見たことあるなにこれ!な感じを言い表す言葉。 なんかあったよね、そういう単語、と思いながら。 ドアノブを握ったまま、瀬尾は目を見開いた。 「あんた、なんでいっつもインターホン出ないですぐにドア開けるんだよ」 こんにちは、ではない言葉を口にしながら白が立っていた。 瀬尾の母親に謝りに来たのだと、白は通された居間で頭を下げた。 「ご心配をおかけして、すみませんでした」 なのに、母親は白の姿を見るなり、 「もう大丈夫なの?」 「傷跡、残るの?」 「手は普通に動かせるの?」 「縫ったの!?痛かったでしょ!!」 と、質問攻めにしたあと、 「痛かったね…かわいそうに」 まるで自分の手が痛むかのような顔をして、白の手を撫でた。 白はその間ずっと照れくさそうに、微妙に口もとを緩めていた。 「大丈夫。もう痛くない。傷跡は残らないみたい。手は、普通に動くし縫ったときも麻酔効いてたから」 そう答えていたけれど、後になって本当は少し傷跡は残るし縫ったときもかなり痛かったのだと、瀬尾には教えてくれた。 本当に、ずっと後になってからのことだけど。 「夕飯、食べてくでしょ?」 当然のようにそう言って買い物に行こうとする母親に、慌てたのは瀬尾のほうだった。 「ちょっとちょっと、相手の都合も聞きなさいよ」 「ありがと、お母さん。俺、大丈夫だよ」 なにその良い子のお返事、と瀬尾が思うほどに白の返事はかわいらしかった。 「じゃあ張り切って…」 ふと言葉を切って、 「そういえばリュウちゃん、何が好き?」 「ハンバーグとか」 「いいわね、やっぱり男の子は肉よね」 にっこりと笑ってキッチンから買い物用のバッグを手にしようとしたとき、 玄関の扉が開く音がした。
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