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階段を上がってくる、とんとんという軽い足音がして
「うい~、いいお風呂でした」
ほかほかの白が顔を出した。
「次、どうする?潤くん、結構お酒入ってるみたいだけど」
「ん、入ってくる」
さっきまでの会話がまるで嘘のように、穏やかな表情の潤は白の横を通り抜けざまに、
「いい匂いだな」
まだ少し湿っている髪に唇の端で軽くキスをして、瀬尾から借りたパジャマ代わりのスウェットとコンビニで買ってきた新品の下着を手に部屋を出て行った。
「あ~、お腹いっぱい、あったかくて極楽だ」
「おっさんみたいだな」
白のセリフに瀬尾が笑う。
「髪、まだ生乾きじゃん」
「そのうち乾くよ」
「風邪ひかない?」
「だいじょぶだいじょぶ」
母親が用意してくれたらしい、ふわふわのタオルで髪を適当に包んで布団の上をごろごろ転がる。
ファンヒーターが部屋の中を暖めて、外の寒さが嘘のように気持ちいい。
「あー極楽だ…」
上機嫌な表情で仰向けになり、天井を見上げた白がそのご機嫌のままの口調で、
「で?潤くんから何聞いたの」
そう言った。
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