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人の死に関わる仕事は世の中にいくつかあるが直接手を降す職業は僕達くらいだろう。 何も知らないものは死神と呼ぶのかもしれない。だけど死を決定しているのは周りの人間であって、僕らはただ与えているだけ。神と呼ばれるには烏滸がましい。 まぁ、与えた数だけ見れば神様クラスなんだろうけどね。 業務として捉えられるようになると亡骸を前にしても特別な感情を抱くことはなくなる。 もっとも初めからそのような感情を持っていたのかはさだかではないが… 運び終わった躯を前に一滴の涙を流す少女がいた。 着物を着て風に髪をなびかせ泣いている彼女はあまりにも美しく、足元にある遺体を含めて一つの完成した絵画のようだった。 状況からは彼女が運んだのか、身内の死を体験し悲しんでいるのか判断できない。そんな時自らの姿を晒すのは得策ではないのは承知しているし、まして声を掛けようものなら二流呼ばわりされても致し方ない。 頭ではわかっていたが気がついた時には 『泣いているのかい?そんなに涙を流していたら身体の水分が無くなってしまうよ』 と臭い台詞が口から通り過ぎた後だった。 ナンパにしても状況と彼女の行動にそぐわないのはわかっている。 理解できないのはそんな言葉を選んだ自分のセンスだ。 「優しいのね。誰にでもそんな感じに声をかけるの?」 「いや、そういう訳じゃ…」 「私ね、まだ数えるだけしか仕事をした事がないの。全然慣れないけどね」
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